コーヒーの説明に「アラビカ豆」という言葉が出てきます。
アラビカとはコーヒーの品種のひとつです。



アラビカ豆とは、コーヒーの品種である「アラビカ種」の豆のことを言います。
コーヒー豆は植物学的には「アカネ科コフィア(コーヒーノキ)属」に分類される樹木の種子が原料です。
果実の中の種子を乾燥させ、殻を除去したものがコーヒー豆(生豆)です。
コーヒーノキ属には数十~120以上の種があると言われますが、コーヒー用として栽培されているのは、下記のわずか3種です。

 ・アラビカ種
 ・カネフォラ種
 ・リベリカ種

リベリカ種は世界のほんの一部の地域で栽培されているだけで、世界で流通するコーヒー豆のほとんどはアラビカ種とカネフォラ種です。
現在の全世界の生産比率は、アラビカ種60%・カネフォラ種40%と言われています。
コーヒー生産量世界第4位のインドネシアでは、19世紀のサビ病被害の後にカネフォラ種栽培に移行し、現在は、アラビカ種10%・カネフォラ種90%です。



・アラビカ種

[アラビカ種] [アラビカ種]

アラビカ種はストレートで飲むのに適していると言われ、生産性向上や風味の改善を目的として品種改良され、多くの品種(亜種)があります。
標高1000~2000mの熱帯高地での栽培に適していますが、霜・乾燥・病害虫に弱く栽培が難しい品種です。 
アラビカ種は酸味が強く、花のような甘い香りがあります。またミルクに負けない味わいを持つため、カフェオレやカフェラテにも使われます。
スペシャリティとして有名なコーヒーのほとんどがアラビカ種です。

・カネフォラ種(ロブスタ)

[カネフォラ種ロブスタ】 [カネフォラ種ロブスタ]

カネフォラ種はストレートで飲むのにはあまり適さないと言われ、品種もアラビカ種のように多くはありません。
主に流通している「ロブスタ」という品種名が、カネフォラ種の通称になっています。
ロブスタ種は病気に強く、標高が低い場所(300~800m)で栽培できるため、アラビカ種に比べ栽培が容易です。
風味はアラビカ種とは異なり、苦味が強く渋みがあり、麦茶に似た香ばしさがあります。
ストレートではあまり飲まれませんが、独特の香りと苦味を持つことから、アラビカ豆とのブレンド用として使われ、コーヒーの味わいにパンチを効かせてくれます。



アラビカ種には多くの品種があります。突然変異や自然交配もあれば、品種改良されたものもあります。
「アラビカ種ティピカ」「アラビカ種ブルボン」をはじめ、20品種以上あると言われています(品種名は単に「ティピカ」「ブルボン」などと呼ばれます)。
この中には「ブルーマウンテン」「ハワイコナ」「ゲシャ(ゲイシャ)」など、世界的に有名な品種もあります。
また珍しい品種としては、「カトゥーラ」のように果実が熟すと黄色くなるものもあります。

[アラビカ種カトゥーラ】 [アラビカ種カトゥーラ]



インドネシアのアラビカ種は、1699年にインドから送られたアラビカ種が起源です。
1800年代後半にサビ病により壊滅的な被害を受けましたが、生き残ったアラビカ種がインドネシアの一部地域で栽培されています。これはアラビカ種ティピカ系の亜種と言われています。
また国外から持ち込まれたアラビカ種もあります。天然の品種もあれば品種改良されたものもあり、多くの品種が栽培されているようです。
詳細な品種を分類するのは難しいですが、インドネシアのアラビカ種の多くがティピカ系のようです。
アテンという品種もありますが、これはアラビカ種とロブスタとの交配種の系統です。

インドネシアには「マンデリン」「トラジャ」「バリ・アラビカ」など有名なコーヒーがあります。全てアラビカ種のコーヒーですが、これは品種ではなく地域名などから付けられた名前(銘柄)です。
またインドネシアのアラビカ種の総称として「ジャワ・アラビカ」と呼ぶこともあります。



当店で販売するコーヒーは、ジャワ島の契約農園のみなさんが丹精込めて栽培したアラビカ豆を100%使用しています。
農園で栽培されているコーヒーノキはアラビカ種のティピカです。
農園の方は「マラバル(malabar)」と呼んでいますが、これはインドのマラバールから送られた苗がインドネシアのアラビカ種の起源であることから付けられた通称ではないかと思いますが、詳細は不明です。

[契約農園のアラビカ種】 [契約農園のアラビカ種]

コーヒーへの強いこだわりと探究心が、多くの種類のコーヒー豆を生み出してきました。
奥深さと長い歴史を感じます。